みなさんは脳の中にワーキングメモリーというところがあることをご存知でしょうか?
パソコンに精通されている方なら、RAMメモリーのことと言えばイメージできるかもしれません。
処理速度をつかさどるのがCPU、記憶するところがハードディスク、一度に処理できる容量を決めているのがRAMメモリーって感じです。
とはいえパソコンが苦手な方にはわかりにくいですよね。
では違う説明の仕方で・・・
ではワーキングメモリーを水道の蛇口に例えてみます。
水圧の問題を無視すれば、蛇口の面積が大きければ大きいほど一度にたくさんの水が出ますよね。
乱暴な言い方ですが、「ワーキングメモリーが大きければ大きいほど一度にたくさんのことを考えることができる」って感じですかね。
一度に何人もの人と話すことができた聖徳太子はきっとワーキングメモリーが大きかったに違いありません。
さて我が住人たちは、このワーキングメモリーってやつが小さいとのこと。
あくまでも比較的にですが、自閉症の人はワーキングメモリーが小さい人が多いそうです。
ではワーキングメモリーが小さいとどういう問題が起こるのでしょうか?
正直に言うと、「ワーキングメモリーが小さいことで、どんな問題が起こるのか」僕にはずっとイメージできませんでした。
ご自身がアスペルガー症候群であることをカミングアウトされているニキリンコさんの講演会で聴いたワーキングメモリーについての説明が、腑に落ちたのでご紹介します。
僕が最初にワープロというものを見たのはいつだったか・・・
当時は液晶が高かったせいか、一行分しか、それも20文字程度しか液晶で見ることができませんでした。
そんな昔のワープロで次のような文章を打ってみたいと思います。
「中学生の頃の楽しかった思い出は、3年生の時に修学旅行で夜中まで友達とおしゃべりしたことです。」
この文章を20文字程度しか液晶に表示できないワープロで打つと・・・
「中学生の頃の楽しかった思い出は、3年生の時に」
ここで今まで打っていたものが液晶から消えてしまったとしましょう。
「修学旅行で夜中まで友達とおしゃべりしたことです。」と打ちたいのですが・・・
最初にどう書いたのかを覚えていないと、こんな風に間違ってしまうこともあります。
「修学旅行で夜中まで友達とおしゃべりしたことが楽しかったです。」
これをつなげてみると・・・
「中学生の頃の楽しかった思い出は、3年生の時に修学旅行で夜中まで友達とおしゃべりしたことが楽しかったです。」
「楽しかった」が2度も出てきて、しつこい文章になってしまいました。
液晶が小さいことでこのような間違いが起こりうるのです。
ニキさん曰く「ワーキングメモリーが小さいことは、液晶が小さいことと同じこと。」
「自閉症の人の表出が特殊だと言われるのは、ワーキングメモリーが小さいせいもあるのです。」とのこと。
ではワーキングメモリーが大きければ大きいほどよいのでしょうか?
「Working Memory (2)」に続く