〜 メリーとデメリ(3) 〜<わかりにくい支援>「メリーとデメリ(2)」の続き・・・ ケアホームを出発する時間が、とうとう昼をまわるようになってしまった我が住人。 職員たちが目標として掲げた「午前10時出発」は、今や風前の灯。 僕らが望む彼の行動、そしてそれに対する「メリットの出現」 これらの関連性を彼に上手く伝えられなかったというだけでなく・・・ 「メリットの出現がない」というデメリット出現(メリットの消失)を、彼にわかりにくい形でみせてしまった。 というよりもそもそもメリットの消失を理解してもらおうというに間違いが・・・ だから結果は惨憺たるこの状況。 <わかりやすい支援>方針転換! 兎にも角にもシンプルに・・・ 兎にも角にもわかりやすく・・・ 目標は「午前10時出発」なわけだから、彼が出発する時に「何かがある」ってのが一番わかりやすいはず! そして前回の反省をもとに、「メリットの出現がない」というデメリットではなく、「メリットの消失」と同時に「デメリットの出現」をさせようじゃないかと。 <同時>彼はバスに乗って作業所に行くことが楽しみだった。 というわけで彼に・・・ 「9じしゅっぱつ バス」 「10じしゅっぱつ あるく」 このように提示した。 それを見て彼は「バスのる!」と力強く答えてくれた。 これならばメリットの消失とデメリットの出現は同時だ! 翌日もちろん彼の出発は昼をまわっていた。 僕は彼と一緒にケアホームから4キロの道を歩いた。 ひとりで行かせると、歩かないでバスに乗ってしまうかもってことだけでなく・・・ このような状況なのは僕らの支援に問題があるのだから、僕らにもデメリットを発生させるべきと考えたからだ。 <様々な実り>このような取り組みを始めて半月ほど・・・ 彼は午前10時までに出発できるようになった。 意気揚々とケアホームを出発する彼の笑顔は輝きを増す! 僕らはホッと胸を撫で下ろした。 この経験は僕らにとっても実りのあるものだった。 僕らが想像する以上にたくさんのことを、この経験が僕らに教えてくれたのだ。 「メリーとデメリ(4)」に続く・・・ 平成22年4月14日(水)
(C) Takashi Yokota 2010
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