突然ですが、私の車はオートマです。
速度に応じてギアのチェンジを、車が自動的に適宜に行ってくれます。
もちろんABSも付いていますから、雪道で滑って、咄嗟にブレーキをベタ踏みしても安心です(笑)
そこで僕たちの身体をオートマ車に例えると、我が住人たち、自閉症の人の身体はまるでマニュアル車のようなものだと・・・
自閉症の一種であるアスペルガー症候群のニキ・リンコさんや藤家寛子さんが、「自閉っ子、こういう風にできてます!」という本の中で、そう語ってくれています。
例えば僕の身体は、気温の上昇とともに汗をかくなどして、体内温度の調節を自動的に行ってくれています。
しかし彼女たちが言うには、彼女たちの身体は体温調節を自動的に行ってくれないとのこと。
そこでどうするのかと言えば、冷蔵庫から出してきたペットボトルに、だんだんと水滴がついてくるのをイメージして・・・
そうするとようやく身体から汗が出てくるとのこと。
まさにマニュアル車!
確かに自閉症のお子さんを持つ親御さんの中には「子供の頃からあまり汗をかかない子でした」と言っている人も多くみられ・・・
もちろん「凄い汗かき」なんていう自閉症の人もいるので、みんながみんな体温調節機能が不全というわけではありません。
ただ季節の変わり目になると、決まって調子を崩す我が住人は確かにいました。
体温調節が上手くいかず、体内に熱をため込んで苦しんでいる人が、我が住人たちの中にもきっといたのでしょう。
さてニキさんや藤家さんのお話では、他にも様々なマニュアル車ゆえの苦労があるとのことなのですが・・・
ここで取り上げたいのは!
オートマ車的な身体に乗っかっている僕たちは、マニュアル車的な身体に乗っかっている我が住人の苦労に気付けないってこと。
また我が住人たちは、マニュアル車的な身体が当たり前で暮らしているので、その苦労に疑問を感じにくいということ。
というわけで我が住人たちを理解していこうと思ったら、自分のことに置き換えて考えるだけでなく、「自分と違う」という彼らを見つめることが必要なのです。
そう「僕の当たり前」と「我が住人の当たり前」はきっと違うのです。
目隠し坂をはさんで二つの街がある。
その坂のてっぺんからなら二つの街を見渡すことができる。
でもその坂をのぼることは、容易いことではない。
そもそもその坂の向こうに街があるなんて、僕は知らなかったのだ。