平成17年7月、我が住人の通う作業所に初めてエアコンがつきました。
内地(本州のこと)に住む人にとって、エアコンがない夏なんて信じられないかもしれませんが、比較的涼しい北海道ではエアコンがなくても夏を過ごせるのです。
しかし幾ら涼しいといっても「マニュアル自動車」で書いたようにように、自閉症の人の中には体温調節に難有りという人もいます。
また我が住人の中には「時折奇声を上げる人が・・・」ってこともあり、周囲を住宅で囲まれる我が作業所としては、エアコンは喉から手が出るほど欲しいものでした。
我が住人のひとりが、6月の後半から毎年決まって必ず崩れ、周囲から苦情が来るほどの奇声を、一日に何度も上げるようになります。
この作業所の職員として3年目の僕には、彼が崩れる原因を特定できていました。
彼が雄叫びを上げる理由は、間違いなく気温や湿度の上昇から来る不快感のせいでした。
もちろん彼が「打たれ弱い」というか「我慢強さがない」というような捉え方もできますが、周囲を悩ませるほどの雄叫びを上げざる得ない不快感をきっと感じているわけで、もし僕が彼の立場だったら、同じように雄叫びを上げてしまうのかもって思うと・・・
そして何より彼の身体の体温調節機能が、上手に働いていないのかもって考えると。
というわけで親御さんたちにお願いをして、エアコンをつけていただきました。
しかし後々このエアコンの導入がきっかけで、思いもよらぬことに・・・
エアコンといいましても作業所の全室に必要なわけで、予算の関係上「ウィンドウエアコン」と呼ばれる窓に直接つけるタイプのものをチョイス。
ご存知かもしれませんが、ウィンドウエアコンというのは、窓を半開きにして排気をします。
この「半開き」というのに、納得できない我が住人がいたのです。
「僕たちの失敗(2)」に続く・・・