というわけで「僕たちの失敗(1)」の続き・・・
自閉症の人の中には同一性保持を強く求める人がいます。
「同一性保持」そのままのタイトルの記事で詳しく述べますが、同一性保持とは簡単に言うと同じ状態を常に求めること。
これは自閉症の人たちが「変化に弱い」と言われている理由のひとつでもあります。
とりあえず例を挙げてみましょう。
我が住人のひとりに、とても同一性保持の強い人がいます。
例えばドア。
ドアは
「開けて」→「通って」→「閉める」
ですよね。
この過程のひとつでもないと大混乱!
彼はドアを通ることができません。
僕が先に入ったので、良かれと思いドアを開けておくと・・・
彼はまずドアを「一度閉めて」→「また開けて」→「通って」→「また閉める」
逆もまた然り。
彼が僕よりも先に入ったので、ドアを開けたままにしておいてくれればよいものを、彼は必ずドアを閉めてくれるのです。
さてウィンドウエアコンの話に戻ります。
窓の半開きに納得できない我が住人、ちなみにドアの彼とは別の人です。
半開きが許せない彼もまた、同一性保持が強い様子。
しかし排気ができなければ、エアコンは意味を成しません。
そこでまずこのように紙に書いて・・・
「○○さんへ エアコンがつきました。涼しいですね。エアコンは暖かい空気を外に出して、部屋を涼しくします。窓を開けておいてくださいね。」
文字が読める人だったので、まずは彼に理解してもらおうと・・・
「わかったよぉ〜」と彼は元気に答えてくれました。
得意の踊りも見せてくれました。
けれど僕が彼の部屋を出るや否や、窓が閉まる音がしました。
次に窓を開けておく位置にビニールテープを貼り、彼に一目瞭然、つまり構造的なアプローチで理解をしてもらおうと。
しかし窓は閉まりました。
今度は窓と窓が重なる部分だけに色を塗ってみました。
いわゆる再構造化です。
でも窓はやはり閉まるのです。
「僕たちの失敗(3)」に続く・・・