本日は「僕たちの失敗」の中でも取り上げた、同一性保持について。
「同一性保持」とは自閉症の人に特有の性質ってことではなく、っていうか自閉症の人のみんながみんな同一性保持が強いということもなく・・・
「そう自閉症は自閉症候群であり、一人ひとりまったく違うわけでしてぇ〜」なんて言い出すと話が逸れるので(苦笑)
というわけで同一性保持。
何も障がいを持った人たちに限ったことではありません。
きっとあなただって「かくあるべき」と思っていることが、ひとつやふたつあるはず!
「これに関しては折れられません!」ってことが・・・
ところであなたの部屋のコンセントはどうなっていますか?
きっといろんな電化製品につながっておられるでしょう。
もちろん何もつながっていない「空きコンセント」もあるかもしれません。
さてある施設での話・・・
空きコンセントが気になってしまう女性がいました。
とにかく彼女は何も挿さっていないコンセントには、何か挿したくて仕方ありません。
彼女にとってコンセントとは何か挿さっているべきなわけです。
職員がちょっと目を離すと、誰も使っていないドライヤーとかが勝手に作動していたり・・・
その彼女に突然の不幸が・・・
なんと同じ施設に、「コンセントは挿さっていないべき」っていう女性が入ってきてしまったのです。
職員にしてみれば、「ドライヤーが勝手に作動することがなくなったし・・・」って思いもあったかもしれませんが(苦笑)
「テレビの電源が入りません」なんていう他の利用者さんからの苦情の嵐!
やはり「いいことばかりはありゃしない」ってなわけです。
っていうよりも「コンセントは挿さっているべき」っていう彼女と、「コンセントは挿さっていないべき」っていう彼女とのバトルが・・・
その施設の職員の方に「お二人に対してどういう対応されていますか?」ってたずねたところ・・・
「根気強く、ことある毎に、コンセントは触らないでくださいと教えています!」とのこと。
「101回目のプロポーズ」方式っすね!
っていうか101回で済めばいいけど・・・
正直難しい問題です。
良い策があっても、使えるものは限られていますしね。
また「禁止の構造化」のような小手先のテクニックではどうにもならないでしょう。
現場の方のご苦労は大変なものと思います。
そしてこだわりあう二人の辛さも・・・
もし僕がアプローチするなら、この二点から。
「それぞれの同一性保持を強みと捉えるための環境整備について考えてみる」
「そもそも現象としてのそれらの同一性保持が、本当にその人の持つ特性なのかどうかを疑ってみる」
口で言うのは簡単ですがね(苦笑)
ただやはり「教える」という教育的アプローチだけでなく、福祉としてのアプローチをきっと求められているのだと。
僕らの考え方を変えることで、こだわりが強みになったケースをたくさん見てきました。
環境を整えることで、嘘のようにこだわりがなくなったケースをたくさん見てきました。
まだまだ話したいことがたくさん・・・